ふるさと納税の本来の役割とはISSUE

4.今後のふるさと納税

新ルールは、今後のふるさと納税に影を落とす

以上、ご説明したように、新ルールでのふるさと納税は、様々な問題、課題を抱えながらスタートを切ることになります。
今後のふるさと納税は、次のような状況になると予想され、新ルールはふるさと納税の成長に大きな影を落とすことになると本市は考えています。

特産品の豊富な自治体に寄附が集中

「地場産品問題」は、総務省としては、多くの自治体からの要請もあり、「特産品の少ない自治体に配慮した」と地場産品の定義を緩和したとしていますが、現実には効果が出るとは思えない内容で、従来から懸念していたとおり、特産品資源の乏しい自治体には非常に厳しい環境になると思われます。
また規制は、多くの寄附を集める返礼品を巧みに排除しており、これまで地場産品資源の乏しい自治体がアイデアで資源の豊富な自治体との格差を埋めてきましたが、こういったことも非常に困難になり、過去のように特産品資源の豊富な自治体に寄附が集中することになり、持つ者と持たざる者に大きな格差が生じさせることになります。結果、特産品資源の豊富な自治体に寄附が集中することになると考えられます。

クラウドファンディングで寄附は集まらない

モノからコトへということで、最近もてはやされているGCF(ガバメント・クラウド・ファンディング)ですが、返礼品を送る寄附募集が全て禁止されない限り、クラウドファンディングによる寄附募集は厳しいと本市は考えています。
泉佐野市においてもクラウドファンディングは、4~5年前から積極的に取り組んできましたし、昨年度については、総務省が推奨した起業家支援クラウドファンディングも4事業について寄附募集をしましたが、成立させるために毎回苦労します。本市のような寄附規模がある自治体ですらそういう状況ですので、基礎基盤の無い自治体ではなかなか厳しいというのが現状です。
また、あるGCFサイトでは、「犬の殺処分を再開させない」、「子どもの難病治療法」などを支援するものが多くの寄附を集めているようですが、多くの寄附を集めているのは、数年前からそういった特定のプロジェクトだけで、寄附者に賛同していただけるような訴求力のあるストーリーが都合よく存在するものではありません。
テレビなどを見ていると、ふるさと納税の報道について専門家やコメンテーターが返礼品競争を批判しながら、わかったかのようにクラウドファンディングのような取り組みが大切と安易に発言されているのをよく拝見しますが、実態を把握したうえで、的確なコメントをしていただきたいものです。

多くの寄附を集めるには、経費50%が解決困難な課題に

また、総務省が示した「経費率50%」という突然出てきた新たなルールは、ふるさと納税に懸命に取組む自治体にとって相当厳しい内容であり、最悪、返礼品の調達率30%の維持も困難になることが予想されます。
特に北海道や九州、離島などの自治体は、送料で大きなビハインドがあるため、返礼品の調達率を30%に設定すると経費を50%以内に抑えることはかなり厳しいと考えられ、ここにおいても地方をひとくくりにしか考えていない無責任な総務省の姿勢が表れています。また、この送料の問題に関して総務省は、「大きな差は無いと考えている」とコメントしており、まったく地方の実態を把握していないことが読み取れます。

指定制度は、まるで「独裁国家」のような危うさ

前述したように、指定制度は、総務省の考える「寄附金の募集の適正な実施」が要件としてあり、「調達率30%以下」「地場産品」などを守ることはもちろん、「経費50%以下」や、返礼品を強調した募集の禁止など、新たなルールを守らなければ指定を受けられません。
総務省への申出書類についても、まるで自治体に踏み絵をさせるような内容になっているうえ、最終的には、総務省の恣意的な解釈によって参加できる自治体を選べるため、常に地方自治体が総務省の機嫌を伺わざるを得ないような、地方自治の理念から程遠い異常なルールになっています。
今後もルール追加など、多くの寄附を集める自治体や返礼品には、新たな規制が後付けで作られていく可能性が高く、寄附の拡大を抑制するほか、自治体のモチベーションを下げ、今後のふるさと納税の成長に大きな影を落とすことも危惧されます。
これまでの脅しや嫌がらせのような発言もそうですが、まるで「踏み絵」のような指定制度は、「独裁国家」さながらのような危うさを感じます。

総務省の真の狙いは、ふるさと納税の縮小

今回の法改正は、すなわち返礼品排除を狙ったものであり、それはとりもなおさずふるさと納税自体を縮小させることに他なりません。
確かに、返礼品なしで寄附が集まるのが理想ですが、残念ながら、現状の日本では、返礼品の魅力なしでは寄附が集まらないのが現実です。本市においても、他自治体の取り組みを見ても、それは明らかです。ゆえに今回のような返礼品の魅力を大きく減退させるような規制は、ふるさと納税そのものの魅力を減退させ、制度の発展に大きな影を落とすことになると思われます。
今回の法改正によって、結果的にふるさと納税に対する国民の関心は低下し、2017年度に全体で3600億円超にまで成長したふるさと納税がいつのまにかなくなってしまうようなことになるかも知れません。
せっかくふるさと納税により改善されようとしていた首都圏と地方との税収格差は、結局また元通りの状況に戻ってしまう恐れがあります。

総務省は、制度創設の趣旨に立ち返り、公正で公平な環境を創るべき

総務省には、なぜふるさと納税が創られたのかという制度の趣旨に立ち返っていただき、対処療法のような規制でふるさと納税の規模縮小をするのではなく、真に制度が健全に発展していけるような公平で公正な環境を創っていただきたいと思います。
それには、規制、基準やルールなどは、総務省が一方的な見解で自治体に押しつけるのではなく、自治体・有識者・マスメディア・国民などが幅広く議論し、返礼品についても、関係者の多くが納得できるようなルール・基準づくりに向けて、オープンに意見を集めたり、議論できるような場を設けていただきたいと考えています。

今後もふるさと納税の問題点を訴えていきます

ふるさと納税は、残念ながら、今回、一方的な総務省の見解により拙速に法制化され、「チョット残念な制度」になってしまいましたが、ご説明したように新しいふるさと納税には、多くの問題や課題があり、時が経つにつれ全国の自治体から様々な不満や意見が総務省や都道府県に寄せられるようになると思います。
泉佐野市は、これまで確固たるスタンスや考えに基づいて、ふるさと納税に向き合い、適正に制度運用を行ってきたという自負がありますので、今後も引き続きふるさと納税新制度の問題点について、広く多くの方に問題提起をしていきたいと考えています。

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