ふるさと納税の本来の役割とはISSUE

2.これまでの経緯

ふるさと納税は、なぜ創られた?

ふるさと納税制度が創設されたのは、2008年です。
省庁や大会社、人口、税収など、全てにおいて首都圏に一極集中している一方で、過疎化、産業衰退、人口減少、超高齢化などによって地方が著しく疲弊している状況があり、格差是正のため、首都圏に集中する税収の一部を地方へ移し変える、それを国民が自由に選択することができる制度として創設されました。

ふるさと納税に官僚は大反対

制度創りに携わった内閣府参事官の高橋洋一氏(現嘉悦大学教授)のお話によると、当時、官僚はふるさと納税制度には大反対で抵抗は非常に激しかったそうです。
なぜ反対したのかというと、政府(官僚)が税を徴収して政府(官僚)が配分するのが公正であると官僚は考えていたからです。
また官僚は非常に優秀ですので、現在の本市のように政府(官僚)のコントロールの効かない自治体が発生するのを予期していたのかも知れません。
しかしながら、最終的には、当時の菅総務大臣の剛腕で押し通し、2008年に制度創設となりました。

始めは、なかなか普及しなかった(2008~2012年)

せっかくできた制度でしたが、初期の2008年から2012年までの5年間は、なかなか普及しませんでした。
控除できない金額が5,000円(現在は2,000円)と寄附者の負担が大きいことや、税の控除を受けるには、給与所得者には馴染みの少ない確定申告という手続きが必要だったということもあり、なかなか寄附者は増えませんでした。
この頃、一部の自治体において寄附の謝礼として返礼品が送られるようになりました。泉佐野市でも感謝の気持ちとして泉州タオルの「タオルマフラーセット」や「フェイスタオルセット」などを返礼していました。
その後、地場産品資源の豊富な一部の自治体が、自慢の特産品を複数ラインナップし、寄附者が返礼品を複数から選択できるような仕組みを構築していきましたが、それほど大きな動きはありませんでした。

ポータルサイトの台頭と制度の普及(2012年)

ふるさと納税の成長に大きく貢献した企業がありました。株式会社トラストバンク(以降、「トラストバンク」)です。
トラストバンクは、「返礼品」のお得さに着目し、2012年9月、ふるさと納税ポータルサイト「ふるさとチョイス」を開設しました。
当初の「ふるさとチョイス」は、返礼品情報を取りまとめるだけのwebサイトでしたが、開設1年後の2013年9月には、申込フォームの提供開始、2013年12月にはクレジット決済を開始し、webサイトから容易にふるさと納税の申込みを可能にしたことにより、制度の普及に大きく貢献しました。

トラストバンクと泉佐野市の関係

トラストバンクと泉佐野市の関係は、2013年頃から始まり、2014年2月には、同社の須永社長が泉佐野市を訪れ、千代松市長と二度目の面談をし、トラストバンクと泉佐野市は、ふるさと納税に関する包括的な連携を行うことになりました。その際、トラストバンクから提示されたのが、成果報酬10%、ただし寄附金が1億円に達しなかった場合は無報酬というものでした。本市からは、これに加えて寄附金額が日本一になった際には20%の成果報酬を約束しました。
この包括連携がきっかけになったかどうかは不明ですが、この年から、トラストバンクは、同様の包括支援のサービスを商品化し、大きく成長するきっかけとなります。さらには、ふるさと納税市場が現在のような大きな経済状況になる契機になりました。

ふるさと納税と返礼品競争の幕開け

トラストバンクが泉佐野市との包括的な連携を決定して以降、同社は、全国の自治体の首長や担当者に向けた営業活動を本格化させました。また、話題性のある「高額返礼品」や感謝券なる「金券」を積極的に自治体に薦めたのも同社でした。
ふるさと納税制度を普及させるための活動であったと思いますが、今思えば、こういったことが返礼品競争のきっかけを作ったのかもしれません。
トラストバンクは、今では泉佐野市とは正反対のメッセージを発信するような会社ですが、この頃、「250自治体がふるさとチョイスで1億円超え!」というような、少々過激なパンフレットも作っていたと、本市の担当者は記憶しています。

ふるさと納税三種の神器

この頃生まれたのが「ふるさと納税三種の神器」という言葉です。「肉」「カニ」「米」がそれですが、その後山形県天童市の活躍で「フルーツ」もこれに加わることになります。
「ふるさと納税三種の神器」、いわゆる人気の返礼品です。当時は、北海道上士幌町の「肉」、長野県阿南町の「米」、鳥取県米子市、境港市の「カニ」が大変人気で、掲載されると直ぐに品切れになるようなものもありました。この他のも宮崎県綾町、佐賀県玄海町なども積極的に豊富な地場産品を返礼品として提供し、多くの寄附を集めることに成功していました。こういった「ふるさと納税三種の神器」と呼ばれる特産品資源を持つ自治体が多くの寄附を集めたことで、泉佐野市のように特産品資源の乏しい自治体が危機感を募らせ始めたのもこの頃でした。

あまり知られていない、ふるさと納税の歴史

実は、ふるさと納税の歴史には、あまり知られていない意外な事実があります。そのいくつかをご紹介いたします。
高還元率というと宮崎県都城市をイメージする方も多いと思いますが、実は高還元率のパイオニアは市区町村ではなく、ある都道府県でした。実は、「スタバは無いけど、砂場はある」で有名な鳥取県が「7割」という高還元率で返礼品を提供していました。しかも、県ですから鳥取県全域の事業者から返礼品を提供させ、豊富な返礼品ラインナップということも鳥取県がパイオニアでした。そういったこともあり、鳥取県は、2015年の寄附金額で全国3位になりました。実は、高還元率のパイオニアは鳥取県だったということはあまり知られていないのではないでしょうか。
また、もっと意外なのは、制度創設(2008年)以降、この頃(2015年)までの寄附金額上位自治体は、東京都府中市、三鷹市など、首都圏の自治体だったということもあまり知られていないのではないでしょうか。首都圏と地方の税収格差是正のために創設されたふるさと納税がこの頃はあまりうまく機能していなかったことが分かります。

泉佐野市ふるさと納税の誇り「ピーチポイント」

泉佐野市のふるさと納税と言えば、「ピーチポイント」と言っても過言ではないと思います。ピーチポイントの取組みは、2014年6月から開始しました。ピーチポイントとは、LCC(ロー・コスト・キャリア)の「Peach」の航空券の購入に使えるポイントです。逆に言うとPeachの航空券の購入にしか使えない、使用用途が限られた使い勝手の悪いポイントです。なぜ航空券を購入するのにポイントかと言うと、LCCのPeachは、「空席連動性」という料金体系になっており、他の大手航空会社のように固定の料金がありません。そのため航空券として発行し返礼品として提供することができないため、購入の際、支払いに使用できるポイントを返礼品として提供しています。
このピーチポイントの取組みは、2014年1月に検討を始めたのですが、この頃、関西空港は、現在のように利用者が毎年前年比を超えるような状況ではありませんでした。泉佐野市の近年は、関西空港と共に歩んできたといっても過言ではなく、泉佐野市の財政状況がひっ迫するような状況になったのは、関西空港の低迷が大きな要因でした。つまり関西空港の低迷は、泉佐野市の地域問題であり、関西空港を活性化することが一番の地域課題でした。そこに希望をもたらしてくれたのが、LCCの「Peach」でした。
Peachは、日本発のLCCとして関西空港を拠点に2012年3月に運航を始めました。当初は、日本に馴染みのないLCCという業態ということもあり、「安かろう、悪かろう」という根拠の無い固定観念に苦しみましたが、着実に安全運航、低運賃のイメージを関西を中心に定着させ、ピーチポイントの取組みを検討した2014年1月頃には、徐々に関西空港に明るい兆しが見え始めていました。しかし、その頃でも、現在のような関西空港を想像できた人は、それほど多くなかったのではないかと思います。
そのような中、当時のふるさと納税の担当者が兼務で空港対策の担当もしていたため、この関西空港を盛り上げているPeachを応援することで空港活性化につなげることができないかと考え、ピーチポイントをふるさと納税の返礼品として提供することを思いついたのです。ピーチポイントを返礼品として提供することにより、Peachの利用促進を図り、それが関西空港の利用促進、活性化につながるという目的でした。当時、こういう類の返礼品は珍しく、日本初の取組みということで話題性もあり、多くの寄附を得ることのできるコンテンツとしても期待しました。
その結果、本市のふるさと納税は、寄附額が前年比10倍と急拡大し、全国でも11位となったことで、ふるさと納税に取り組む自治体として一躍全国区に躍り出ることになります。また、どこまでこの取組みが寄与できたかわかりませんが、現在、関西空港は、アジアを中心としたインバウンド旅行者であふれるような状況になり、泉佐野市内にも年間100万人を超えるインバウンド宿泊客が発生し、現在もホテル建設が続いている状況にあります。
このようなことから、ふるさと納税におけるピーチポイントの取組みは、泉佐野市の街の課題解決に寄与した代表的なものであり、泉佐野市ふるさと納税の誇りでもあります。そういった返礼品であっても、この返礼品が多くの寄附を集めるということから総務省は禁止返礼品として規制をしています。ふるさと納税は、地域問題や地域課題を解決するためのツールとして活用することは総務省も推奨していたはずです。こういったことからも総務省の規制は、これまでの経緯と矛盾することが多いと言えます。

ふるさと納税ブームの到来と手続きの緩和(2015年)

ふるさとチョイスをはじめとする民間ポータルサイトの活躍によって、ふるさと納税の認知が一気に広がり、寄附規模も徐々に拡大します。
それに伴い取組みを強化する自治体も増え始めました。
こういった状況をきっかけに、総務省がさらなるふるさと納税の普及を目指し「控除の上限額2倍」、「税控除の手続き簡素化(ワンストップ特例申請)」させたことにより、寄附規模が大幅に拡大することになります。
2-1
全国寄附金総額は、2014年度に約388億円だったものが2015年度には約1,652億円と、約4倍の規模と大幅に拡大しました。

返礼品を批判する自治体

寄附規模が大幅に拡大する一方で、この頃から返礼品を強調し寄附を募集することを批判する自治体の動きが出てきます。
返礼品で寄附者を釣るような募集のやり方は「ふるさと納税の本来の趣旨」にそぐわないと、北陸地方の自治体を中心に反対意見が出るようになります。
こうした動きに対し返礼品を提供する自治体は、批判への反論として、返礼品を送付するのは「特産品のPR」「地場産業の振興」「地域経済の活性化」などと主張するようになりました。
この頃、ふるさと納税がブームになってきていたこともあり、世の中ではどちらかというと批判的な意見が取り上げられることは少なく、返礼品のお得感など、生活の知恵的な切り口を中心として報道されることもしばしばでした。
その際、返礼品を提供していた自治体が訴求した上記のような主張が、あたかもふるさと納税の趣旨のように伝えられ、徐々にこれが「ふるさと納税の本来の趣旨」であるかのように認知が広がっていきました。

総務省による返礼品規制が始まる(2015年)

一部の地方自治体からの返礼品批判とともに、東京都を中心とする都市部の自治体と国会議員からも返礼品を強調して寄附募集をする自治体への批判が強くなりました。同時にこういった自治体や国会議員から国(総務省)に対して返礼品を規制するようにとの要望や意見が出てきました。
そして、とうとう2015年4月、総務省による返礼品規制が始まりました。

2015(平成27)年4月1日付け 総務大臣通知

始めての総務大臣通知の内容は以下のようなものでした。
◎返礼品の価格を表示しないよう 
◎返礼品割合を表示しないよう
◎以下の返礼品を送付しないよう
・換金性の高いプリペイドカード
・高額の返礼品
・返礼割合の高い返礼品
2-2
(総務省HPより)
総務省からの通知には、「価格表示をしないよう」「返礼割合を表示しないよう」といった「お得感」の訴求を禁止するものが中心で、具体的な禁止返礼品としては、「換金性の高いプリペイドカード」「高額返礼品」「返礼割合の高い返礼品」といった、地方自治体から見てもあまり相応しくないという印象の強いものでしたので、これに対して批判的な意見をもっている自治体は多くはありませんでした。
また、自治体の対応も自主的なものに留まり、それほど大きな額の寄附を集める自治体も無かったため総務省や都道府県からもそれほど強い指導はありませんでした。

毎年禁止返礼品が増えていく(2016年以降)

2016年4月、二通目になる総務大臣通知による規制がありました。
長崎県平戸市が「ポイント制」を発明して2014年度の日本一になり、翌2015年にこの「ポイント制」が自治体の間で大ブームになったこともあり、「金銭類似性の高いもの」としてプリペイドカード、商品券、電子マネー・ポイント・マイル、通信料金が禁止返礼品となると、この「ポイント制」もポイントだからという理由で禁止対象となりました。

2016(平成28)年4月1付け 総務大臣通知

二通目の総務大臣通知、内容は以下のようなものでした。
◎返礼品の価格を表示しないよう 
◎返礼品割合を表示しないよう
◎以下の返礼品を送付しないよう
・金銭類似性の高いもの
(プリペイドカード、商品券、電子マネー・ポイント・マイル、通信料金等)
・資産性の高いもの
(電気・電子機器、貴金属、ゴルフ用品、自転車等)

・高額の返礼品
・返礼割合の高い返礼品
※赤字が新たに追加されたもの
2-3
(総務省HPより)
2016年4月の通知では、静岡県焼津市がタブレット、岡山県備前市や長野県伊那市などが家電製品で大きな額の寄附を得たため、「資産性の高いもの」として、電気・電子機器、貴金属、ゴルフ用品、自転車などの規制が始まりました。
ただし、この頃においても自治体の対応は自主的なものに留まり、総務省や都道府県からもそれほど強い指導はありませんでした。

総務省が「本気」になった?(2017年)

2017年4月、三通目になる総務大臣通知による規制は、過去2年のものとは違いました。
この通知には、「返礼割合を3割以下にすること」という、これまでの「高い還元率」とのみ表現されていたものに対する具体的な数値が示されました。

2017(平成29)年4月1付け 総務大臣通知

三通目の総務大臣通知、内容は以下のようなものでした。
◎返礼品の価格を表示しないよう 
◎返礼品割合を表示しないよう
◎以下の返礼品を送付しないよう
・金銭類似性の高いもの
(プリペイドカード、商品券、電子マネー・ポイント・マイル、通信料金等)
・資産性の高いもの
(電気・電子機器、家具、貴金属、宝飾品、時計、カメラ、ゴルフ用品、楽器、自転車等)
・高額の返礼品
・返礼割合の高い返礼品
◎返礼割合を3割以下にすること
◎市民には返礼品を送付しないよう

※赤字が新たに追加されたもの
2-4
(総務省HPより)
これまでは、「高い還元率」と抽象的な表現を使っていましたが、「返礼割合を3割以下にすること」と還元率に具体的な数値が示されました。
この際、通知以外にも具体的な動きがあり、総務省から都道府県を通じて、問題があると思われる市区町村には返礼品の是正に関する指導が入りました。
総務省が特に問題があると考えている自治体には、総務省から直接指導の電話がありました。泉佐野市には、総務省の課長補佐からピーチポイントの提供を止めるようにとの指導がありました。
こういった指導が全国の自治体にありましたが、その際、総務省からは、「ふるさと納税に対して批判が出ていて、是正してもらえないと制度を守れない」と、地方自治体の良心につけこんだり、酷いものでは「交付税を減らす」などの脅しとも取れる発言を受けた自治体もありました。こうした状況に多くの自治体は、見直しを余儀なくされました。

自治体が重い腰を上げて、見直しが始まる(2017年)

2017年4月の通知内容とそれに伴う国、都道府県からの圧力が非常に強いこともあり、制度を守りたいと考えた自治体は、重い腰を上げて見直しを進めることになります。
ランキング上位の自治体で見直しを進める動きが多く出たこともあり、比較的寄附金額の多い自治体のほとんどが見直しを進めることになりました。
総務省からは当初6月までに見直しをするようにとの指示がありましたが、自治体からの反発もあり8月を目途に進めることになりました。しかし、寄附規模の大きい自治体などでは、すぐの対応は難しく、秋頃を目標に見直しが進められました。
泉佐野市においても2017年8月の見直しを決定し、5月に事業者向けの説明会を実施、見直しに向けて事業者からのヒアリングなどを進めましたが、想定以上に業務量が多く、最終的には2017年11月に見直すことになりました。
見直しに時間を要した理由は、2点ありました。
1点目は、寄附全体の6割以上が「1万円の寄附」という状況があったため、還元率を3割にするために、例えば返礼品自体を変更せず、寄附金額を1万円から1万5千円に変更したとすると、当該返礼品が選ばれづらくなるため、質量やセット内容の組み換え、値引交渉などについて事業者との調整が必要になりました。泉佐野市の場合、当時でも事業者数が100社以上あり、その調整だけで数か月を要しました。
2点目は、事業者の反発でした。事業者からすると、見直しは大きく売上に影響することから、見直しに関して否定的でした。事業者の多くは、ふるさと納税が、「儲かります」、「お得です」となる以前から市と一緒に取組んできたという想いもあり、市側の都合や判断で一方的に見直しをすることに反発もありましたし、市としても一定の配慮は必要と判断し、事業者の納得がいくまで丁寧に説明し理解を求めました。最終的には、「制度を守りたい」という全国の自治体の共通の想いを理解いただき、見直しを了承していただきました。

<見直しをした上位の自治体>
2017年4月 長野県伊那市(2位)
2017年6月 宮崎県都城市(1位)、岡山県備前市(13位)
2017年7月 山形県米沢市(7位)
2017年9月 静岡県焼津市(3位)
2017年10月 山形県天童市(9位)
2017年11月予定 大阪府泉佐野市(8位)
カッコ( )内は、2016年の全国寄付金額受入順位
しかし、この時は知りませんでしたが、本市を含め寄附金獲得上位の自治体は、全国の自治体が動いていると思い込み見直しに動いていましたが、実際は、総務省や都道府県から強い圧力をかけられていた上位の自治体だけが動いていただけで、総務省の調査資料でも発表されているとおり、2017年8月時点で841団体(47.0%)、2018年3月時点でも490団体(27.4%)が3割超の返礼品を提供していました。もともと3割以内で実施していた団体の方が多かったので、これからするとほとんどの自治体は見直しをしていなかったことになります。
なお総務省の調査は、あくまでも自己申告ですので、3割以下と申告している自治体の中でも3割以上の還元率で実施している自治体は沢山ありました。余計なことかも知れませんが、現在でも3割と申告しながら、3割を超える返礼率で実施している自治体は、多くはないですが存在します。

地方自治体を揺るがす大事件が勃発(2017年9月4日)

いわゆる「野田発言」が勃発します

「自治体におまかせするのが当然」
「ふるさとへの寄附を直接、自分の意志でできるという仕組みや、脆弱な財政の地方が必要なことをふるさと納税で自由にできるという流れが大事」
「ふるさと納税のよい取り組みや在り方を紹介することで、通知をださなくてもすむのでは」     (産経ニュースより)

<外部リンク>
野田聖子総務相、ふるさと納税返礼品「自治体判断に一任」
https://www.sankei.com/politics/news/170905/plt1709050003-n1.html

不公平の原因を作ったのは、野田総務大臣

2017年9月4日、当時、就任後間もない野田聖子総務大臣が産経新聞の取材において「自治体におまかせするのが当然」、「ふるさと納税のよい取り組みや在り方を紹介することで、通知をださなくてもすむのでは」との発言があり、それが報道されたため、全国の自治体は大混乱になりました。これが、いわゆる「野田発言」です。
時の総務大臣の発言ということもあり、まだ見直しをしていなかった多くの自治体が見直しを保留することになり、既に見直しをした自治体、保留した自治体に格差、不公平が発生する原因となりました。

自治体は大混乱、総務省への不信感が強く

「野田発言」で自治体は大混乱となりましたが、野田大臣は、自身の発言で全国の自治体を混乱に陥れたにも拘わらず謝罪もせず、また2017年12月には衆議院選挙が控えていたため「また大臣が変われば発言が変わるのでは」という憶測も広がり、自治体の中では、総務省の一方的な見解による規制により生じていた不信感がんさらに強くなりました。
すでに見直しを終えていた一部の自治体からは、「不公平」という批判もありましたが、野田大臣も総務省も、事態の収拾に積極的に関与しないばかりか、大臣および総務省が招いた状況にもかかわらず、見直しを保留した自治体に責任転嫁をしたことでさらに国と自治体の間の溝が深まることになります。

突然の通知、またまた自治体は大混乱

そのような中、通知を出さないと言っていた野田大臣が、2018年4月にまたもや返礼品の規制に関する通知を出します。それも、かつてないとんでもない規制でした。
「地場産品規制」です。
前年に全国の自治体を大混乱に陥れておきながら、しかも「通知を出さない」と言っていた野田大臣が前触れもなくこの通知を出してきたため、総務省と自治体の信頼関係はもはや崩壊同然となったと本市はとらえています。

2018(平成30)年4月1付け 総務大臣通知

四通目の総務大臣通知の内容は以下のようなものでした。
◎返礼品の価格を表示しないよう 
◎返礼品割合を表示しないよう
◎以下の返礼品を送付しないよう
・金銭類似性の高いもの
(プリペイドカード、商品券、電子マネー・ポイント・マイル、通信料金等)
・資産性の高いもの
(電気・電子機器、家具、貴金属、宝飾品、時計、カメラ、ゴルフ用品、楽器、自転車等)
・高額の返礼品
・返礼割合の高い返礼品
◎返礼割合を3割以下にすること
◎市民には返礼品を送付しないよう
◎(地場産品規制)「地域資源を活用し、地域の活性化を図ることがふるさと納税の重要な役割でもあることを踏まえれば、返礼品を送付する場合であっても、地方団体の区域内で生産されたものや提供されるサービスとすることが適切・・・」
※赤字が新たに追加されたもの
2-5
(総務省HPより)

「地場産品規制」による容赦ない泉佐野潰し

2018年4月の通知で追加された規制は、返礼品を地場産品のみにするようにとの内容でした。いわゆる「地場産品規制」です。
この「地場産品規制」は、これまでの規制の状況(平戸市のポイント制、都城市の高還元率、伊那市などの家電製品)からみて、泉佐野市が多種多彩な返礼品を提供し、2017年度に日本一になったことから出てきたものではないかと考えられます。
なぜ地場産品かという理由については、
「地域資源を活用し、地域の活性化を図ることがふるさと納税の重要な役割でもあることを踏まえれば、返礼品を送付する場合であっても、地方団体の区域内で生産されたものや提供されるサービスとすることが適切・・・」
というようなことが示されていますが、地場産品だけが地域活性化を図るわけではないことは明らかであり、後付けの理由だということは明白だと理解しています。
そこには、今後泉佐野市と同様の取組みをする自治体がたくさん出てきたら、ふるさと納税の規模が膨らみ過ぎるという懸念があったのではないでしょうか。

常軌を逸した総務省のパワハラが始まる(2018年)

2018年4月の通知以降の総務省からの圧力は強く、通知に従わない全国の自治体に都道府県を通じて強い指導がありました。
総務省は、自治体に対し、6月から8月までに見直しをするようにとの指導をしましたが、泉佐野市のように多くの協力事業者を抱え、返礼品数の多い自治体では、そのような短期間での見直しは困難との判断が相次ぎ、年末又は年度内の見直しを主張する自治体が多くありました。
しかし総務省は、自らの失態を棚に上げ、これまでと同様に、「このままでは制度を守れない」と、良心につけこむような発言や、「交付税を減らす」といった脅し同然の指導で自治体を押さえつけようとしました。泉佐野市にも担当者へは2度、市長へは3度、電話で指導がありました。
地方分権一括法の制定以降、本来、国と地方は対等であり、法律に基づいたものでなければ指導、関与はできないはずであるにも関わらず、泉佐野市だけではなく全国の複数の自治体が執拗な嫌がらせを受けました。
泉佐野市に対しても、総務省とのやり取りとの中で、総務省の担当者から「交付税などどうにでもできる」という趣旨の発言があり、脅しともとれるような違法な関与だったのではないかと考えています。

通知を守らない自治体の実名公表(2018年7月6日)

泉佐野市としては、4月の通知(地場産品規制)以降、一貫して総務省に対し申し上げてきたのは、「調達率3割」については守る意思はあるが、「地場産品規制」については、特産品資源の豊富な自治体とそうでない自治体に格差を生じさせるのは明らかなので、この規制(通知)に関しては取り下げて欲しいということを主張してきました。「見直さない」とは、一度も申し上げていません。
それを一方的に「見直しに応じない自治体」として、2018年7月6日、実名を公表されることになります。この際、公表された自治体は以下の12団体でした。
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(総務省HPより)

総務省の反抗自治体への責任転嫁のはじまり

総務省は、自ら(野田大臣が一番の原因)が招いた混乱の責任を、規制に反対する自治体に擦り付けるため、責任転嫁を行ってきました。
泉佐野市については、見直しに応じないとは回答していないにも関わらず、本市を含めた12団体に「見直しに応じない自治体」というレッテルを貼り、あたかも規制に反対する自治体が「悪」かのように扱いだしました。

総務省によるネガティブキャンペーン(2018年9月11日)

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(総務省HPより)
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(総務省HPより)
総務省は、このような調査を積極的に実施、公表し、あたかも総務省に従わない自治体が悪いかのような印象・イメージを着実に作ってきたといえます。
総務省が「ルール」という「3割以下」「地場産品」という規制は、総務省の一方的な見解の押し付けに過ぎません。また総務省が行ってきた通知は、「技術的助言」の範囲であり、本来それをどうするかの判断は自治体に委ねられているはずです。それをあたかも守る義務があるかのように「ルール」という表現を使い、それに沿わない自治体を「違反自治体」と名指しで批判するという構図には怒りというよりは、国家権力への恐怖を感じました。

自治体に責任転嫁をした後、満を持して…

総務省は、こうして自治体に責任転嫁をした後、満を持して最終手段を打ってきました。
法制化によるふるさと納税の規制です。
実は、本市は、2017年6月に総務省担当者と総務省内でお会いしており、地場産品規制について意見を申し上げて検討いただくようお願いしていました。また、本市としても何かしらの落としどころが無いかという想いもありましたので、そこを探るべく話し合いをしていくつもりでした。
その後、公式な総務省の対応としては、市長に対する電話による指導だけで、本市から投げかけた事項に関する回答は無く、結局、9月11日に定例の総務大臣会見において法制化によるふるさと納税規制の方針が何の前触れもなく発表されました。
今覚えば、6月から9月までの3か月間は、本市に何もさせないための時間稼ぎだったのかも知れません。
<外部リンク>
返礼品3割超の自治体、ふるさと納税「対象外」総務相
https://www.asahi.com/articles/ASL9C32RPL9CUTFK002.html

東京での記者会見 闘いのはじまり(2018年9月末)

本市は、このまま黙っていると、
総務省に責任転嫁されたまま、
悪者の汚名をきせられて、
制度から排除される

という恐怖を感じました。

同時に、このままでは、
ふるさと納税制度は、
どんどんつまらない制度にされてしまう、

という危機感も感じました。

そして
泉佐野市の名誉のため
ふるさと納税の未来のため

本市は思い切って声を上げることにしました。
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総務省からの嫌がらせや脅しに多くの自治体が見直しを余儀なくされ、全国の自治体から不満が高まったこともあり、本市は2018年9月27日、東京都内で記者会見を開きました。(千代松市長は、台風21号の対応で残念ながら出席できませんでした。)
会見の場では、「地場産品規制」が持てる者と持たざる者で格差が生じること、総務省の一方的な見解でルール作りをするのではなく、広く多くの意見を聞いたうえでルールを作ってほしいということを訴えました。
9月の会見以降、メディアを通じて幾度も総務省に対して自治体の意見を汲み取っていただくよう訴えましたが、結局、総務省は聞く耳をもたず拙速に法改正に進んでいくことになります。

泉佐野市の主張

泉佐野市は、2018年9月27日の東京都内での記者会見以降、一貫して以下の事項を訴えてまいりました。

➀ ルールは、みんなで考えてつくるもの

返礼品に関する基準やルールは、総務省が一方的な見解で自治体に押しつけるのではなく、国(総務省)・自治体・有識者・マスメディア・国民などが幅広く議論して決めていくべき。
返礼品について、関係者の多くが納得できるようなルール・基準づくりに向けて、オープンに意見を集めたり、議論できるような場を設けてほしい。

② 返礼品は、自治体の裁量で決めるべき

返礼品の調達率や返礼品を何にすべきかなどは、本来は各自治体の裁量に任せるべき。
ただしルールとして「調達率3割以内」とするのであれば、きちんとした根拠が示され、全自治体が納得した上で遵守するものという前提であれば、本市も賛同する。

③ 地場産品規制は、埋めることができない自治体間格差を生む

地場産品規制については、“持つものと持たざるもの” で自治体間の格差が生まれることは容易に想像できる。
地場産品の定義などは、拙速に決めるのではなく、各自治体のアイデアなども活かす方向で、広く意見を求めながら話し合って決めるべき。

④ ふるさと納税の規制は、地方自治体のモチベーションを削ぐ

ふるさと納税制度は意義のある制度であると同時に、地方創生にもつながるものである。中央省庁が安易に規制を強めて、地方自治体の意欲や情熱を削ぐことを危惧している。

続く、総務省からの嫌がらせ、ペナルティも

2019年3月22日、本来本市が得られるはずだった特別交付税が、後出しジャンケンのような省令改正で大幅に減額されました。その額は、約2億円という大きなものです。
それ以外にも、大阪府を通じて、府の貸付に関する優遇の廃止や、利率の高い金融機関への変更指示などの経済制裁的なものや、通常では考えられないタイミングで国の会計監査が入るなど、現在も様々な嫌がらせを受けています。

<外部リンク>
ふるさと納税で多額寄付…泉佐野など4市町、交付税を減額
https://www.sankei.com/politics/news/190322/plt1903220033-n1.html

結局、総務省は聞く耳を持たず・・・

2019年3月27日、結局、総務省は地方の声に耳を傾けることなく、改正地方税法が成立してしまいました。
残念ながら、地方の声が反映されたとは思えず、この法律には多くの問題点が存在しました。詳しく見ていきます。

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